• 後転をすると首が痛い…!
  • 途中で止まってしまい、最後まで回れない…
  • 「もっと勢いをつけて!」とアドバイスしてもうまくいかない…

学校の体育授業や、体操教室でこのようなことはありませんか?

マット運動の後転でよくある悩みが「首が痛い」「途中で止まってしまう」という問題です。

後ろへ転がってはみるものの、頭がぬけずにそこで止まってしまう…こんな状態が続くと、学習者は「後転はできないし首が痛いもの」と感じて練習をしなくなることもあります。

さらには、補助のしかたを間違えると、余計に首の痛みを感じたり、けがをしてしまう可能性もあります。

後転が回りきれないのは、単に腕の力が足りないからというわけではありません。

多くの場合、2つのポイントを意識するだけで、動きは大きく変わります。

この記事では、私が1,000人以上に指導してきた経験から、

  • 後転で途中で止まる・首が痛くなる理由
  • 意識するべき2つのポイント
  • ポイントごとの練習法
  • 補助するときに、してはいけないこと

について解説します。

この記事を読めば、後転を行う際に重要なポイントとその練習法が分かるようになります。

後転がうまくできずに困っている人はもちろん、後転ができるように教えてあげたい!という人もぜひ最後まで読んでいってください。

後転で途中で止まる・首が痛くなる原因

原因①足だけが上がっている

後転でうまく回れずに途中で止まってしまう原因の一つとして、「足だけが上がっている」ということがあげられます。

後転は、後ろへ転がって、身体全体が頭を越えて回っていく運動です。

このとき、転がって足だけが上がってきていても、おしりが上がっていないと、うまく頭を越えることができません。

おしりが低いままだと、たとえ足が上がっていても、うまく回れずに途中で止まってしまいます。

また、転がっている途中で足を伸ばすと同時に、腰も伸ばしてしまうと、そこで回転が止まりおしりも上がってきません。

つまり、「最後まで回れない」のは、足だけ上がっていて、おしりが上がっていないことが原因であることが少なくありません。

後転の比較。足だけ上がっているのはバツ、おしりが上がっているのがマル

原因②頭をぬく空間がない

2つめの原因として、「頭をぬく空間がない」ということがあげられます。

後転では、マットについた手で押すことによって、頭をぬく空間をつくる必要があります。

手で押せていないと、この空間ができません。すると、頭がぬけず、そこで止まってしまうのです。

そして、空間がなくても無理に回ろうとすると、首に負担がかかってしまいます。

もしくは、首を横に曲げてぬくことで、曲がった後転になってしまうこともあります。

頭をぬく空間がないままに、勢いでなんとかしようとすると、余計に首に負担がかかり痛みが強くなることもあります。

「後転をすると首が痛い」という学習者は、このうまく頭をぬく空間をつくれていないことが多くあります。

「首が痛い」ときは、無理やり回ってはいけません!

後転で意識するべき2つのポイント

ここまで、後転がうまくいかない2つの原因についてお話ししてきました。

では、実際に改善していくにはどうすればよいのでしょうか。

後転で意識するべきポイントは、「おしりを上げる」と「手でマットを強く押す」の2つです。

この2つに注目してみていくと、今どちらでつまずいているのかが見えやすくなります。

ポイント①おしりを上げる

1つめのポイントは、「おしりを上げる」です。

後ろへ転がり、腰・背中・首の方へ順についていき、おしりを高く上げていきます。

背中の上の辺りがマットについたときには、おしりが自分の真上に高く上がっている必要があります。

そこまでおしりが上がっていないと、頭を越えて進行方向へと回転していかないからです。

おしりが高く上がっていると、自然と身体が頭を越えて、後方へ転がっていきます。

ここで気をつけたいのが、途中で身体を伸ばさないということです。

「おしりを上げよう」として、身体を伸ばしてしまうと、回転が止まり、結果的におしりの上昇も止めてしまうことになります。

おしりを上げるときも、丸まったままで、つまり腰やひざを曲げたままでい続けることが重要です。

ここが難しいところです。「丸まったまま」がポイントです!

ポイント②手でマットを強く押す

2つめのポイントは「手でマットを強く押す」です。

転がっておしりが上がってきたところで、手でマットを強く押します。

押すことで身体が持ち上がり、原因②でお話しした頭がぬける空間ができます。

この空間ができると、首への負担を小さくして、後方へ回りきることができます。

逆に、押しが弱いままだと、首に大きな負担がかかってしまいます。

回れないからといって、勢いをつけすぎると、首を痛めてしまいます。

首が痛いときは、手で押せていないことが多くあります。

痛いときは無理に勢いをつけずに、「手で押す!」という意識を強くもちましょう。

このとき、ポイント①の「おしりを上げる」ときと同様に、身体を伸ばさないようにすることが必要です。

「手で押そう」とすると、ブリッジをするときのように身体を伸ばしてしまう人もいるので注意してください!

後転を成功させるための練習法

ここからは、後転を成功させるための練習法を4つ紹介します。

  • “おしりを上げる”ための練習を2つ
  • “手でマットを強く押す”ための練習
  • 後転の段階練習

それぞれ紹介していきます。

いきなり後転を何度も繰り返すのではなく、それぞれの要素に分けて練習していくほうが、結果的に近道になることが多くあります。

とくに、首が痛いという場合には、無理をせずに段階を追って練習をしていきましょう。

仮に後転ができたとしても、「首が痛い」と感じる場合には、段階を戻って練習することをおすすめします。

一度うまく回れたとしても、そのあとうまくいかないということもあります。運動を覚えていく道すじについては、別の記事で詳しく書いています。

後転は首に負担のかかりやすい運動です。練習を行う際は、マットを使用し、周りの安全を確かめてください。首の痛みが強い場合、無理に練習を続けないでください。

痛みはガマンせず、一つずつできる練習を進めていきましょう!

“おしりを上げる”ための練習法①「ひざ曲げ背倒立」

ねらい:まず、おしりを高く上げる感覚をつかみます。

やりかた:仰向けに寝て、まず足先を天井に向かって上げます。このとき身体がまっすぐになるようにしてください。

背中から足先まで身体をまっすぐに上げたら、ひざを曲げます。この姿勢が「ひざ曲げ背倒立」です。

はじめからひざを曲げて身体を上げるよりも、一度まっすぐに上げてからひざを曲げる方がおしりが高く上がった姿勢になります。

うまくいかないとき:腰が曲がって、身体がまっすぐにならない場合は、両手で腰を支えて構いません。

両手で腰を支えて、まっすぐの背倒立ができたら、ひざ曲げ背倒立の姿勢にしてみましょう。

その姿勢に慣れてきたら、徐々に手の支えをはずしていってください。

このひざ曲げ背倒立の姿勢が、後転で「おしりを上げる」ときの姿勢になります。ここでおしりを上げる感覚をしっかりとつかみましょう。

背倒立からひざ曲げ背倒立への2コマ。足をまっすぐ上げてから、ひざを曲げる

“おしりを上げる”ための練習法②「ゆりかごからひざ曲げ背倒立」

ねらい:後ろに転がる勢いを使って、おしりを高く上げます。

やりかた:体操座りのような姿勢から、背中を丸めてあごを引いたまま後ろへ転がります。これがゆりかごの動きです。

ゆりかごで後ろに転がる勢いをそのまま使って、練習法①の「ひざ曲げ背倒立」の形になります。

うまくいかないとき:おしりが上がりきらない場合は、お腹に力が入らずに、途中で身体が伸びてしまっていることが多いです。

まず、ゆりかごであごを引いたまま、お腹に力を入れてゆらゆらと前後に揺れる練習をしてみましょう。

慣れてきたら、後ろへ転がったときに少しずつ「ひざ曲げ背倒立」に近づけるように、おしりを上げていってください。

はじめはおしりを上げるときに、腰を手で支えて構いません。おしりが上がってきたら、手の支えなしで、「ひざ曲げ背倒立」になれるようにしていってください。

ゆりかごからひざ曲げ背倒立の4コマ。体操座りから後ろへ転がり、ひざ曲げ背倒立になってもどる

“手で押す”ための練習法③「ゆりかごで手をつく」

ねらい:転がっておしりを上げると同時に、マットに手をつく感覚をつかみます。

やりかた:練習法②と同じように転がり、おしりが上がってきたところで、マットに手をつきます。

ここではまだ、回りきらなくて構いません。おしりを上げると同時に、手を耳の横のマットにペタンッ!とつくイメージで手をつきましょう。

うまくいかないとき:手がうまくつけない場合は、転がる前から手を構えておくとつきやすくなります。

手を開き、親指が耳の横にくるようにしてください。横に逃げないように、ひじは前に上げておくことが重要です。

手をつくときも、おしりを高く上げることを忘れないでください。

ゆりかごで手をつく4コマ。後ろへ転がっておしりを上げ、耳の横のマットに手をペタンッとつく

おしりを上げるのがうまくいけば、この練習で自然と後転になることもあります!

“おしりを上げて押す”「後転」の練習

ねらい:後転のかたちにしていきます。

やりかた:しゃがんだところから後ろへ転がり、おしりを上げて、手をつきます。

このとき、手はできるだけ素早くペタンッ!とつきにいくようにしてください。

素早く、スタンプを押すようにペタンッ!とつきにいくことで、自然とマットを押す力が強くなってきます。

頭がぬけて、後ろに回ることができれば、後転の完成です。

うまくいかないとき:止まってしまう場合は、手がつけていても、途中で身体が伸びてしまって、おしりが上がっていないことが多くあります。

身体を伸ばさないように、ひざ・腰を曲げたままおしりを上げることを意識してみてください。

もしそれでもうまく回れなければ、一度これまでの練習にもどってみてください。

とくに、おしりを上げると同時に、手をつく、というところを改めて意識して練習してみてください。

後転の4コマ。しゃがんで後ろへ転がり、おしりを上げると同時に手を素早くつき、足から着地する

おしりが上がっていないのか、手で押せていないのか。もしどちらが苦手かわかれば、そちらを重点的に練習してみてください!

後転を補助するときに、してはいけないこと

ここで、後転の補助のしかたについて、ぜひ知っておいてほしいことがあります。

後転で、頭がぬけずに止まってしまっている学習者を見ると、つい回してあげたくなります。

しかし、そこで進行方向へ「押して」補助するのは大変危険です。

頭がぬけていない状態のまま進行方向へ押すと、首に強く負担がかかり、痛めてしまうことがあるからです。

補助するときは、押すのではなく、腰を両手で持って「持ち上げる」ようにしてください。

つまり、「おしりを上げる」ことを助けてあげてください。

持ち上げてあげることで頭がぬける空間ができ、学習者は自然と回れるようになります。

後転の補助の比較。進行方向へ押すのはバツ、腰を持ち上げるのがマル

止まってしまった学習者を、進行方向へ押して回すことは絶対にしないでください。腰を持って、上へ持ち上げてあげてください。

首の痛みなく、一人で回れるようになれば、「後転」の完成です!

まとめ

今回は、後転で首が痛くなる・途中で止まるときの原因と、意識するべき2つのポイント、そしてその練習法についてお話ししました。

  • 原因①:足だけが上がっている
  • 原因②:頭をぬく空間がない
  • ポイント①:おしりを上げる
  • ポイント②:手でマットを強く押す

後転がうまくいかないとき、つい「もっと回って!」「勢いをつけて!」と声をかけてしまいがちです。

勢いをつけることで、うまく回りきれることもあります。

しかし、勢いだけでは、学習者の動きが改善されないだけでなく、首が痛くなってしまうことが多くあります。

“おしり”が上がっていないのか、“手の押し”が足りないのか。どちらでつまずいているのかが分かれば、かける言葉も、選ぶ練習も変わってきます。

「おしりを上げる」と「手でマットを強く押す」の練習をそれぞれできるようになることが重要です。

学習者自身の動きから、効果的な練習を選択していくことが大切です。

なお、ここで紹介した内容が、すべての学習者に当てはまるわけではありません。

身体の大きさや筋力、これまでの運動経験によって、つまずくところは変わってきます。今回は、私のこれまでの指導経験から多くの人に効果的だと思う練習法をあげました。

学習者のお悩みに合わせて、試していただければと思います。

後転は首に負担のかかりやすい運動です。練習を行う際は、マットを使用し、周りの安全を確かめてください。首の痛みが強い場合、無理に練習を続けないでください。

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